大自然の宝庫といわれる、北アルプスを擁する長野県松本市に位置する相澤病院。民間病院として全国で3番目に「地域医療支援病院」に承認され、急性期医療を担う地域の中核病院として、住民からも信頼が寄せられている。県下屈指の規模と機能を持つ救命救急センターでは、24時間365日の診療体制を取り、本格的なERと屋上ヘリポートを設置し、高度な医療を提供している。
同センターは、一次救急から三次救急に対応し、総合診療科と救急科で構成。患者さんのトリアージ(重症度の判定)を実施後、外科系の患者さんは救急科で、内科系の患者さんは総合診療科で診察を行うという連携が取られている。
こうした急性期医療に魅力を感じて入職を希望したのが、救命救急センターに勤務する大澤千恵美さん(看護歴5年)だ。
「地域医療と救急医療に力を入れている病院で、スキルを高めたいと思い入職を希望しました。地元の人々から頼られる病院で働けることにやりがいを感じています」
現場で看護師の果たす役割は大きいが、それだけに看護師の行動が患者さんの生命を左右することにつながるといっても過言ではない。大澤さんも日々の業務を通じて、責任の重さを感じているという。
「症状を正確に判断するアセスメント能力、急変時の迅速な対応が求められるため、自分の行動の大切さを痛感しています。緊急時でも、優先されるのは患者さんの気持ち。検査を行う際も、可能な限り説明し納得してもらうことを心がけています。スキルの向上は大切ですが、それをどう患者さんのケアに生かしていくか、自ら考える力が必要です」
3年前に救命救急センターからICUに異動を希望した轟由佳利さん(看護歴5年)は、患者さんとのかかわりを、より深めたいという思いがあった。
「救命救急センターでもやりがいを感じていたのですが、治療が優先され、患者さんとのコミュニケーションを取ることが難しい状況でした。スキルアップのためにも、ほかの病棟で経験を積みたいという気持ちが生まれました」
ICUの看護は、家族とのコミュニケーション能力、他職種とのチーム医療が不可欠だと、轟さん。
「常に患者さん主体の看護を心がけると同時に、動揺しているご家族の気持ちをサポートするのも看護師の役目。ご家族への正確な情報伝達により、不安を軽減しています。生命の危機的状況下にある方を、医師をはじめ薬剤師、栄養士、リハビリスタッフなど、個々の専門性を提供してチームで回復に導いています」
同院では、幅広い高度な知識と技術が求められる急性期の看護師を育成するため、独自の教育制度を設けている。そのひとつが「Ai-ness」(アイネス、Aizawa hospital Nurse Educational Support System)だ。
これは、プリセプター制度を発展させた看護教育システムで、マンツーマンの指導だけでなく、チームで技術面と精神面をサポートしていくもの。このシステムを導入した経緯を、看護部院長補佐の伊藤紀子さんは次のように語る。
「従来の制度は、プリセプターとプリセプティの性格の不一致や指導者のレベルの違いにより、弊害が起きるケースもありました。『Ai-ness』は、チーム全体で指導する体制のため、新人はさまざまな考え方や看護方法を学べますし、指導者も全員で新人育成にかかわる認識が生まれ、細やかな指導が可能になりました」
技術面では、2008年に研修専用施設「シミュレーションセンター」を開設。専任の看護師が指導に当たり、新入職者看護職研修、看護手順や手洗いのスキルチェックなど、看護技術の基本から専門的な技術を習得できる場を用意している。
また、やる気のある人をバックアップする体制が整っていると、伊藤院長補佐はいう。
「当院では、自ら考えて行動できる看護師の育成に力を入れ、生き生きと仕事ができる環境があります。スペシャリストでもジェネラリストでも、自分の目標に向かっていく人へのサポートは惜しみません」
轟さんは、働きやすさを配慮した環境を次のように語ってくれた。
「自分次第でスキルアップできるので、今後もICU看護の知識や技術を吸収していきたいですね。仕事では緊迫感がありますが、オフタイムは自然に囲まれているので、ゆったりとした時間が過ごせます」
大澤さんも、目標を実現できる場があることが励みになるという。
「学ぶ意欲があればサポートが受けられます。急性期看護を深めると同時に、将来は一般病棟での看護も経験し看護の幅を広げたいですね。仕事とプライベートを切り替えられる生活が送れることも魅力です」
松本市という文化的で四季に恵まれた環境のなかで、個々の看護師たちがお互いに刺激し合い、高め合いながら、生き生きと働いている。

