
横浜市立病院には、救急医療・がん診療・感染症医療・地域医療の拠点としての「市民病院」と、急性期から回復期まで一貫した治療とリハビリを行う専門病院の「脳血管医療センター」の2つの病院がある。
両病院とも、CDP(キャリア開発プログラム)に沿った教育体制のもと、個々の臨床実践能力に合わせてキャリアアップできるように支援している。また、24時間保育などの子育て支援制度やワーク・ライフ・バランスを考慮した働きやすい環境のなかで、看護師たちは長く働き続けている。
1981年に「がん検診センター」を併設し、がんの予防から検診・治療にいたる一貫した医療体制を確立している市民病院では、2009年5月には緩和ケア病棟を開設した。
緩和ケア病棟では、毎週1回、多職種によるチームカンファレンスが行われている。参加メンバーは、緩和ケア専門医、精神科医師、師長、病棟・外来看護師、心理療法士、栄養士、ボランティアなど。そこに2人の専門看護師も参加している。
緩和ケア病棟の立ち上げから開設プロジェクトの中心メンバーとしてかかわってきた、がん看護専門看護師の小迫冨美恵さん(看護歴20年)は、「カンファレンスでは、より深めたいケース、困っているケースを厳選して取り上げています。それぞれの専門性をもった意見を一度に聞けるので、患者さんに対する見方が深まります」と話す。
小迫さんは、緩和ケアのスペシャリティとして看護ケアについてのアドバイスを行いつつ、緩和ケア病棟が、より専門性を深めた病棟になるよう病棟運営を支援している。
リエゾン精神看護専門看護師の福嶋好重さん(看護歴17年)は、家族への精神的ケアや看護師のメンタル支援などを行っている。
「緩和ケアを希望して入ってきた看護師たちも、看取りが相次ぎ患者さんを失うと、理想と現実のギャップで気持ちが揺らぎます。そこで、仲間同士で語り合う“心のシャワールーム”を開いて、気持ちをわかち合い、サポートしています」
2人は緩和ケアチームの一員としても活動している。市民病院では質の高い医療・看護を提供するために、褥瘡ケアチームや人工呼吸器安全回診チーム、院内感染対策チームなど、チーム医療に力を注いでいる。
多職種が連携したチーム医療を推進するなか、看護師たちが主体的に活動し日々の看護に取り組んでいる。
脳血管疾患の専門病院として、ICU6床のほか、SCU(脳卒中ケアユニット)12床を有する脳血管医療センターでは、超急性期から回復期までチーム医療を大切にしながら退院までを支援し、その結果、在宅復帰率85%以上と高い数字を残している。
教育担当師長の東由紀子さん(看護歴18年)は、神奈川県立保健福祉大学実践教育センター教員養成課程を修了し、新人教育に携わっている。
「少人数で行う看護技術シミュレーション研修や病棟内での探検ゲームなど、グループワークも含め、部署配属前に、同期の絆が深まる内容になっています」
夜勤開始前の7月には「多重課題シミュレーション研修」を開催。
「夜勤では、多くの患者さんを受け持つことになります。吸引、点滴交換、トイレ介助など、同時に課題が発生したときに、どのように対応するかを体験学習します。このような体験学習が、夜勤業務に役立つことになります」
このほか、5月・9月のリフレッシュ研修、10月の安全研修がある。病棟内では、プリセプターを中心に、病棟スタッフ全員で新採用者をバックアップしていく体制をとっている。きめ細かな教育体制だけでなく、働きやすい職場環境作りのために、フィッシュ哲学を導入し、看護学生にも良い実習環境が提供できているのも特徴だ。
慢性疾患看護専門看護師の下村晃子さん(看護歴16年)は教育研修にかかわる一方、09年4月に「看護外来」を立ち上げた。
「外来の待ち時間を活用して、脳卒中後の患者さんの生活習慣の見直し、再発予防のための日常生活上の指導や相談にあたっています。今後は、認定看護師などと共に、看護外来の幅を広げていけたらと考えています」と下村さん。
また、脳卒中専門病院としての看護師教育にも力を入れ、毎年、「脳卒中リハビリテーション看護講習会(28科目構成)」を開催している。講習会は、地域関連病院や訪問看護ステーションの看護職員も受け入れ、キャリアアップの場となっている。


