湘南鎌倉総合病院は、1988年の開院以来、ER救急医療を基本に24時間総合診療体制で地域社会に貢献してきた。現在では、湘南地区、三浦半島地区の約100万人をカバーする地域の基幹病院であり、542床、18部署24診療科を有する。日本初の日帰り手術センター、オンコロジーセンター(高度ながん治療のための総合的施設)などの先進医療から、訪問看護ステーションなどの関連施設と連携した介護、福祉領域まで、地域のニーズに応え幅広く活動している。同院は、理事長の理念である「生命だけは平等だ」を基本とし、24時間365日安心して医療サービスが受けられる病院である。
1年目の新人看護師、吉田愛子さんは秋田県出身。いったん精神医療・心理学関係の出版社に勤めたものの、以前から抱いていた看護師志望の気持ちを捨てきれず、退職し、学校に通い直して再出発した。「どの病院がいいのかは資料だけではわかりません。私の場合は『湘南』に惹かれて興味を持ち、1泊2日のインターンシップがあったので参加して見学・体験してみました」(吉田さん)。
1泊2日のインターンシップは入職を検討している人向けに用意された制度で、宿泊費、交通費(面接を受ける人には往復支給)を病院側が負担し、1日2時間程度ずつ、希望部署で体験看護するというもの。そのほか、説明会や懇親会もある。このインターンシップを利用した人の2人に1人が実際に入職しているという。「ほかにも見学予定の病院があったのですが、訪問しませんでした。担当していただいた先輩看護師の方がとてもパワフルで憧れてしまって」と吉田さんは話す。
このほか、1日で終了するインターンシップや説明会・見学会も用意されている。
看護師一人ひとりを大切に育てていくためのキャリア開発システムも充実している。
卒後1年目の新人看護師向けには、看護技術を主軸とした17の研修が実施されている。2年目以降もリーダー研修や専門分野の研修などがあり、現場の看護師たちによる研究発表会も平成20年度には24回実施されるなど活発だ。
現任研修では、広く一般の看護技術を身につけていくジェネラリストと専門分野を掘り下げていくスペシャリストに分かれ、ジェネラリストには指導者やリーダー養成研修を用意し、スペシャリストを選ぶ看護師には、資格取得、大学進学、海外留学の支援を用意している。
また、感染管理、緩和ケア、透析看護、皮膚・排泄ケア(WOC)などの各認定看護師、呼吸療法士、日本糖尿病療養指導士、看護管理者、医療安全管理者が所属し、専門性の高い看護現場をともに体験できる一方で、訪問看護ステーションなどの関連施設でトータルヘルスケアも学ぶことができる。ほかに公式な研修とは別に面接などを通し看護師の希望を聞き他病棟での研修を受けるなど、一人ひとりの将来の方向を踏まえ、病棟全体で看護師を育てる気風がある。
看護師たちは全員がポートフォリオ(自己目標管理ツール)を持ち、1年後、3年後、10年後の目標を設定し、月々の目標の達成度をチェックしながら、達成を目指して自己管理している。
プリセプターとして吉田さんを指導する高橋尚子さんは専門性の高いベテランのPDナースでもある。吉田さんが目指しているのもPDナースだ。PD(Peritoneal Dialysis)とは「腹膜透析」のこと。大掛かりな装置が必要な血液透析とは違い、患者自身が自分の腹膜を利用して自宅でもできる体にやさしい透析法だ。
「看護師という仕事は、医療という面だけではなく、患者さんの人生のターニングポイントに生活面、心理面の両方から関わる、やりがいのある仕事です」と高橋さん、吉田さんは口をそろえて話す。
勤務は二交替制で働きやすく、病院内は、看護師同士はもちろん、医療技術スタッフともチームワークがよく、仲もいい。教育体制に加え、24時間体制の附属託児所など子育て支援も充実し、幅広い面で働きやすい環境となっている。年間を通して離職者は減少傾向にある。
吉田さんは今、寮住まいで湘南に住む。病院が近くのマンションを借り上げたもので通常のマンションと変わらず、家賃は相場よりかなり安い。「勤務体制はOLのときより楽です。休みは横浜に行ってショッピングしたりして、プライベートライフも満足しています」(吉田さん)。


