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全国38病院 臨床現場を徹底取材!

■北里大学病院・北里大学東病院■

患者さんと家族の意思を尊重するために
専門性と調整力を発揮する移植コーディネーターたち
移植医療支援室でのミーティング。看護部移植コーディネーター担当で
看護部看護科長のYさん(右下から2人目)、Tさん(右上端)、
Bさん(左から2人目)、事務担当のAさん(右上から2人目)

専任移植コーディネーターが活躍する移植医療支援室

 北里大学病院と北里大学東病院では、臨床現場で実践を重ね、院内外で学びを深めた看護師たちが、チーム医療の要となり、各部署で看護の専門性を発揮している。
 移植医療の基幹病院である北里大学病院は、臓器・組織提供や移植を希望する患者さんと家族の意思を十分に生かすために、2006年に移植医療支援室を開設。副院長直属の組織として医師や薬剤師、臨床検査技師、事務員、そして看護部所属の移植コーディネーターなど総勢40名あまりで構成されている。09年4月には、ドナー、レシピエント、組織移植、神奈川県の各分野で計5名の看護部所属の専任移植コーディネーターが配属された。この背景について、同室の看護部看護係長のTさんは次のように説明する。
 「当院では、これまで臓器・組織提供や移植にかかわるコーディネーター業務はほとんど看護師がその役割を担ってきています。こうした歴史のなかで、この業務は新たな看護の役割機能を発揮する分野だととらえ、専任のコーディネーターの数を増やして、移植医療の体制を再整備しております」
 Tさんは97年より同院において、肝レシピエント移植コーディネーターとして活動する。現在は移植医療支援室の看護係長として、「とても専門性とやりがいのある仕事ですが、24時間体制であったり、早急な対応が必要になります。各コーディネーターがスムーズに業務が行えるようマネジメントしていきたい」と話し、移植コーディネーター間のチーム力向上も図っている。

骨バンク・神奈川県・院内それぞれの活動

 同院「骨バンク」は学会認定の組織バンクである。専任の組織移植コーディネーターであるBさんの活動は、4都県において骨提供の連絡が入ると、骨バンクの医師と共に提供病院に出向き、まず家族に説明して同意を得て、骨の摘出介助を行う。提供された骨を移植に使いやすいように加工し、保管・管理を行っている。
 「歩けなかった患者さんが骨の移植を受け、歩いてリハビリ室に向かう姿を見ると、提供してくださったご家族の気持ちが尊重されてよかったなと思います」(Bさん)
 また、急性・重症患者看護専門看護師(CNS)でもあるCさんは、院内ドナー移植コーディネーターの専任として、主に救命救急センターで活動する。同センターでは、三次救急で搬送されてきた患者さんに対し、臓器提供意思を確認する調査票を配布。提供の希望のある患者さんには、Cさんが医師や看護師と調整しながら、家族の意思を尊重できるような準備を行う。
 「移植医療はチーム医療です。さまざまなスタッフがかかわる調整役としては、患者さんの一番身近にいて、患者さんやご家族の気持ちがわかる看護師が適任です。今後はCNSの役割も発揮しながら、移植医療を受ける患者さんのケアにあたりたい」とCさんは将来の抱負を語った。
 もう一人のドナー移植コーディネーターのJさんは、09年秋から神奈川県臓器移植コーディネーターになり、フィールドが院外にも広がった。神奈川県内の病院の移植医療に関する体制整備や、県内で教育・啓発のイベントの開催、臓器提供の希望のあった病院に出向いて家族に説明し、承諾書をもらい、臓器斡旋機関として調整を行う。
 Jさんが移植コーディネーターを目指したのは、小児病棟で働いていた時に、臓器提供にかかわったことによる。提供への家族の気持ちを知って、それまでの臓器提供の考えが一変した。「患者さんの意思、それを受け継ぐご家族の意思をより多くの施設で最大限に尊重できるように、啓発活動にも力を入れています」。

移植患者さんを生涯にわたってフォローする継続看護にやりがい

 Gさんは専任の腎レシピエント移植コーディネーターとして、3年前に同院に入職した。それまでは腎移植を手掛ける病院の腎臓内科病棟で、長年、慢性腎不全患者さんのケアにあたるうちに、レシピエントコーディネーターを目指すようになったという。
 現在は週2回の移植外来で、腎移植を受けた患者さんと面談をしたり、献腎登録を希望する患者さんや、生体間移植のドナーやレシピエントに情報を提供し、相談にのっている。
 「免疫抑制剤を一生涯服用する移植患者さんは、移植後のフォローがとても大切です。末期腎不全患者さんの移植前(透析)、移植、移植後を理解し、継続してケアできる移植看護は、慢性疾患の究極の看護とも言えるのではないでしょうか」(Gさん)
 「何とか患者さんや家族の意思を尊重したい」と、移植に向けて院内外の関係諸機関、医療チームのスタッフたちと調整をとりながら、患者さんのケアにもあたる移植コーディネーターたち。
 同院には移植医療に限らず、さまざまな領域で役割モデルを示す看護師たちが数多く活躍し、後輩への刺激となっている。

  • 院内ドナー移植コーディネーターの打ち合わせ。左からJさん、看護係長のFさん、Cさん
  • 泌尿器科の診察室で腎移植を受けた患者さんの診療を行うY医師とGさん