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■根岸病院■

日本の精神医療をリードしてきた民間病院で
精神科看護のエキスパートを目指す
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「時間があれば患者さまの話を聞くようにしてます」という吉野邦宏さん

開放的な環境とスタッフの明るさにひかれて

 1879(明治12)年に開院して以来、民間の精神科病院のパイオニアとして、日本の精神医療をリードしてきた根岸病院。「人のこころをたいせつに」を理念に掲げ、全職員が一丸となって、患者さんの社会生活の復帰を援助している。
 また同院の大きな特徴は、門から正面玄関に至る芝生に囲まれたアプローチや、200種余りの草花が四季折々に咲き誇る庭園などに代表される明るく開放的な環境だ。
 北海道の大学を卒業し、2009年4月からB2(亜急性期の閉鎖)病棟に勤務する吉野邦宏さんは、学生時代に精神科看護の道に進みたいと、入職先の病院を探していた時に、これまでの精神科病院のイメージを覆す同院の環境がすっかり気に入り、早速面接に訪れた。
 「外観だけでなく、ここで働いているスタッフも患者さまたちも明るく挨拶してくださり、ぜひここで働きたいと思いました。それに、民間の精神科病院として最も歴史のあるここなら、学ぶことも多いだろうと感じました」
 吉野さんの1日は朝の申し送りから始まり、患者さんのベッド周りの環境整備など、業務は多岐に渡る。最近では5名の受け持ち患者さんを担当するようになった。日勤の終わりには必ず病棟を回り、患者さん一人ひとりに声をかけ、いろいろな患者さんと話をする時間を設けている。
 「まずは患者さまに自分の名前を覚えてもらおうと思い、時間があれば患者さまの話を聞くようにしてます。名前で呼んでもらえたり、患者さまの考えていることが、自分なりに理解できた時はとてもうれしいです」と生き生きと語る吉野さん。「今は毎日の仕事が楽しい」と、充実した入職1年目の日々を送る。
 ただ、そんな吉野さんにも、患者さんの対応に悩む時がある。たとえば患者さんの妄想や暴言に振り回されたり、同じ訴えを何度もされたりすると、まだまだ戸惑うことも多いという。そんな時、吉野さんにとっての教科書は先輩看護師たちだ。
 「先輩たちの患者さまへの対応をしっかり観察しながら、自分とは何がどのように違うのかを考えます。今は先輩たちの対応を真似している段階ですが、いずれは自分のものにできたらいいですね」
 一方で学校卒業後、すぐに精神科病院に勤めると、一般的な疾患の知識や看護手技が不足するのではないかと心配する人もいる。そんな人たちの不安に、吉野さんは次のように答えた。
 「精神科以外の疾患に関しても、受け持ち患者さんについては、カルテを見て既往歴をチェックし、基礎疾患などについて勉強をしたり、わからないことは先輩に聞いたりしています。また注射などを行う場合は、なるべく自分から率先してやらせてもらうようしているので、ここでも看護技術は十分に身につくし、自分の勉強次第で幅広い知識を得ることはできると思います」
 吉野さんの将来の目標は、精神科看護のエキスパート。そのため、「開放病棟での看護も経験し、精神科全体の流れをつかんでいきたい」と、将来を見据え、今日も患者さんの話を聞こうと、ベッドサイドに足を運んでいる。

年40余りにおよぶ院内研修が看護の基礎力を支える

 「精神科看護とは、『人が人を看る』ことであり、まずはひとりの人間として、しっかり患者さまと対峙できることが大切です。そのため、『人が好き』『人と話すことが好き』という人なら、精神科の看護師としての資質があると思います」
 このように精神科看護について語るのは、看護部長の岩崎さくらさん。「処置ではなく、患者さまと向き合って看護したい、患者さまと対話がしたい」と、一般科から同院に移ってきた看護師も多い。
 一方、新人看護師に対しては、同院ではあえてプリセプター制度を導入せず、各病棟に配置された教育担当者と、さまざまな年代の先輩看護師たちが、いろいろな角度と場面で、新人看護師を指導し、見守っている。その理由を岩崎看護部長は次のように説明する。
 「精神科領域は同じ疾患でも、患者さまによって症状はさまざま。患者さまの一人ひとりの特徴や接し方、距離の取り方をつかむなど、個別性の高いケアが求められるために、精神科看護にはマニュアルや答えはありません。先輩の看護や、患者さまとの対応の仕方を生きた教科書として、学んでいってほしいからです」
 また、看護部での年間30日前後に及ぶ新人看護研修が、新人看護師たちの知識や技術の習得をフォローしている。特に「症例発表会」について、「日頃病棟で出合う疾患のなかで、興味を持った疾患をあらためて勉強したり、患者さまの昔のカルテを読み直すことで、患者さまの生活背景がより理解でき、気づきも多い」と岩崎看護部長は評価する。
 さらに、年間約40回程度開催されている院内研修を積極的に活用することで、幅広い知識と技術を身につけることもできる。このような充実した学習環境と、先輩看護師によるていねいな指導が、精神科看護のエキスパートを育んでいる。

  • 吉野さんの質問に、ていねいに答える病棟の先輩看護師
  • 看護部長の岩崎さくらさん
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