済生会は、社会福祉法人として保健・医療・福祉を通して数多くの「済生」を実践している。その中核を担う存在の済生会中央病院は、看護師一人ひとりの成長を支援するために、知識と経験の段階に合わせてキャリア開発ラダーを提供している。
看護歴3年、小児科病棟勤務のKさんの、職場選びの決め手となったのは、「自分の成長過程が具体的にイメージできるキャリアラダーに魅力を感じたこと」だった。きめ細かな院内教育を受け、臨床経験を積んだKさんは、現在、プリセプターの役割を担っている。
Kさんの指導のもと、日々成長しているEさんは、新潟県の四年制大学を卒業し、同院に入職した。新潟県の済生会病院で実習を行った際、先輩方の丁寧な看護実践を間近で見て、「同じ理念をもつ職場で働きたい」と、就職先に決めた。
配属先の小児科は、患児の年齢にかかわらず、処置などを行う前には必ず説明をし、終了後には「がんばったね」とほめる声かけを徹底して行っている。子どもが好きで希望した職場であり、仕事にやりがいを感じていると話すEさんには、一つの転機があった。
川崎病の1歳の患児の担当になったときのことだ。同院は付き添いは許可していないが、家族の不安が強い場合は、可能な限り時間外面会を許可している。
この患児の母親も不安が強く、時間外面会が多かった。Eさんは、「初めに私にできることは、とにかく話を聞くことだと思い、できる限りそばにいるようにしました」と語る。落ち着いてきたころを見計らって、患児も母親も大変よくがんばったこと、もう大丈夫なので、あとは医療スタッフを信じて任せてほしいことを伝えたという。
「小児科イコール子どもと思いがちですが、ご家族のサポートも同じぐらい重要な仕事だと、身をもって体験しました」とEさん。これからも、知識や技術を吸収して小児看護を深めていきたいと考えている。
看護歴11年、2009年にがん化学療法看護の認定看護師となった主任看護師のFさんは、外科病棟でキャリアをスタートし、その後血液内科を経て、婦人科系の病棟に移った。どの科でもがん患者さんのケアに直面したのが、認定受験を決めた大きな理由だと話す。現在は、婦人科病棟と外来の化学療法センターを兼務している。
「化学療法は、薬剤によって期間も決まっており、それに伴う副作用などもかなり正確に予期できます。予期できるならば、予防や起きてしまった後の対策も、より具体的に考案でき、やりがいがあると感じました」(Fさん)
血液内科時代に出会った白血病の患者さんは、副作用の口内炎がひどく、食事をとれずに悩んでいた。うがいをすすめるにも、わざわざうがいに行くことを強いるのはどうかと感じたFさんは、「トイレに行って手洗いするときに、ついでにうがいしましょうか」と提案してみた。実はこの患者さんは点滴をしていたために、トイレの回数が通常より多いことに着目しての提案だった。案の定、次の抗がん剤投与期間は、口内炎を発症せずに過ごすことができたのだ。
「一つひとつは地道な取り組みですが、それを積み重ねることで、全体の看護の質が上がると信じています。今後は、私個人のケアだけに目を向けるのではなく、院内全体の看護の質の向上のため、スタッフ教育に力を入れていきたいですね」と抱負を語る。
現在、同僚の一人ががん性疼痛看護の認定コースの勉強中で、現場に復帰後は、協力して横断的ながん看護が展開できると、とても楽しみにしているそうだ。
同院では、認定コース受講中も職員として立場が保証されるため、安心して勉強に集中できる。
Fさんは、「仕事はずっと続けていきたいですし、私生活も大事にしたい。それにはうまくワークライフバランスをとることが大切ですが、認定看護師の先輩に子育て中の人もいるなど、今の職場はそれが実現できるところです」と、と笑顔で話してくれた。

