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■聖路加国際病院■

部署を超えた「ケア検討会活動」で
現場の改善と看護の質向上を実現
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改善策を真剣に討議し合う感染予防ケア検討会のメンバーたち
(左が委員長の坂本史衣さん、中央がメンバーの北村文香さん)

リソースナースの専門知識と高い技術を生かした検討会活動

 聖路加国際病院では、個々のスタッフの専門職としてのキャリアやモチベーションの向上を支援する制度・環境が充実している。専門看護師などのリソースナースがリーダーとなる「ケア検討会活動」もその一つ。設定された領域・テーマに関心をもつナースが部署を超えて自主的に参加し、5月から翌年4月まで1年間活動する。2009年度は「がん治療ケア検討会」、「摂食嚥下障害患者検討会」、「クリティカルケア検討会」など17もの検討会が動いている。
 「熱意をもって現状のケアを改善していこうとするスタッフの姿を見ると、検討会活動やメンバーからの質問などに関しては、忙しいなかにあっても優先度を高くして対応していこうという気持ちになります」と話すのは「感染予防ケア検討会」の委員長を務める坂本史衣さんだ。
 医療安全管理室に所属する坂本さんは、米国の公衆衛生大学院を卒業した後、米国感染管理認定機関による感染制御担当官としての認定資格であるCIC(Certification in Infection Control)を取得。日本看護協会の感染管理認定看護師の専任教員も務めた感染管理のスペシャリストである。
 同検討会の活動は月に1回。「中心ライン関連血流感染予防」、「手指衛生、多剤耐性菌とクロストリジウム・ディフィシル対策」などテーマごとにグループワークを行い、12月には各グループが成果を発表する。多くは現場でのケアの改善やマニュアルの見直しなど具体的な取り組みを行っているが、そのために必要な知識や文献などに関する質問が坂本さんに寄せられ、そのアドバイスを参考にメンバーは活動を推進していく。
 それだけに、坂本さんがもつ専門知識は検討会メンバーにとって非常に重要な情報であり、同時に医療安全管理室にいることの多い坂本さんにとっても、この活動が現場の実情を把握する貴重な機会となっている。
 「患者さんにスタッフがどんなケアを実践しているのかをメンバーからの情報によって知ることができ、しかも現場目線でのアイデアや質問を出してくれるので、メンバーとの活動は感染管理の仕事上でも重要な存在となっています」(坂本さん)

現場の具体的改善につながるグループワークの成果

 検討会の活動目標は所属部署のケアの改善であり、メンバーはそのためのキーパーソンとして知識を普及させる、マニュアルを浸透させるなどの役割を担っている。感染予防ケア検討会でも、これまでもいくつかの院内マニュアルの改善が行われた。
 その一例として、結核の感染予防策がある。以前は結核が疑われる患者さんが入院した場合、検査室にその情報が伝わらず、適切なタイミングで予防策や優先的な検査が実施できずに、職員やほかの患者への暴露の危険があった。そこを検討会で見直し、部門間の情報共有を確実にすることの必要性を指摘。搬送者が特定のカードを持つことで検査室の職員が一目で結核だとわかるようした。
 さらに、分泌物の吸引操作における手袋の交換・手指消毒のタイミングが不明瞭だという現場の状況を改善するため、従来のマニュアルに加え実際の動きを視覚的に確認できるDVDマニュアルも作成している。
 特に大きな改善がみられたのが腎センター。シャント管理時の血液暴露防止のゴーグル採用、駆血帯の個人所有など多くの対策が導入された。
 「感染予防は意識に訴えるところが大きく、現状を改善するという意識をもつことが大切です」と坂本さん。机上の論理、議論に終わることなく、具体的な改善策を考案し実施しているのは、参加メンバーの意識の高さの表れだと感じている。

検討会への参加により感染予防への意識が向上

 「感染対策ではナースが重要な鍵を握っています。知識を深めて病棟に貢献したいと考えて、検討会に参加しました」と話すのは、混合病棟勤務の北村文香さん(看護歴4年)だ。所属部署での内科患者さんの増加に伴い感染症のリスクが高まり、感染予防の必要性を再認識して、2年前から先輩ナースとともに感染予防ケア検討会に参加している。
 病棟内でクロストリジウム・ディフィシル感染症が発生したこともあり、昨年はクロストリジウム・ディフィシルをテーマにグループワークで知識を深め、マニュアルの徹底を図るため部署の若手スタッフの知識レベルや病棟の傾向をチェックして、必要な対策を講じてきた。その結果、今では感染者が出ても迅速な対応ができるようになったという。そして検討会参加2年目の今年は、麻疹・水痘を中心とした空気予防策をテーマとしたグループワークにより、外来受診から入院までの一連の流れのなかで、院内マニュアルの見直しに取り組んでいる。「検討会で深めた知識を病棟の現状に合うかたちで伝えていくことで、現場の意識も向上したと感じています。自分自身も、もっと部署に貢献したいという気持ちが強くなりました」と、北村さんは活動の成果を実感している。
 ケア検討会活動は現場に確かな変革とケアの質向上をもたらし、それがスタッフの大きなやりがいにもつながっている。

  • 感染予防のフローチャートと患者さんのデータとを照合し必要な対策を確実に実施している
  • 検討会活動の成果。左:針刺し事故防止対策の提案、右:クロストリジウム・ディフィシル感染症疑いの目印として赤い手のマークを病室入り口に掲示し注意を喚起
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