専門性の高い先進医療と患者さんへの温かい看護に定評のある土浦協同病院は、917床を有する大型の総合病院だ。救命救急センター、地域がんセンター、総合周産期母子医療センター、NICU等の専門医療機能を備え、地域医療の基幹病院として貢献している。なかでも同院の医療看護に対する地域住民の厚い信頼の象徴ともいえるのが、救命救急センターだ。
一次から三次までに対応する同院の救命救急センターは、1990年の開設以来、365日休むことなく24時間体制であらゆる救急患者を受け入れている。
また、同センターはドクターカーを保有。救急隊からホットラインで要請されると、ただちに医師、看護師がドクターカーで救急現場に出動し、その場で重症患者の治療を行うことも少なくない。
「忙しい職場ですが、看護師たちのモチベーションが高く、残業などの時間外勤務がほとんどありません。
看護師一人ひとりの努力と抜群のチームワークで勤務時間内に業務を完結させるようにしています。オンとオフのスイッチを切り替えるのがとても上手なのです」と看護部はいう。そして、こういうメリハリのある働き方と、そこから生まれる温かく質の高い看護は、同院看護部全体の大きな特徴でもある。
「どんなに重症で意識がないと思われる場合でも、必ず患者さんの心に届くようにと声をかけます。元気に退院する姿を見ると、これからも頑張ろうというエネルギーがわいてきます」というのは、同センターの井川洋子さんだ。
そこには「急性期の場合、最初の治療や看護が、その患者さんの予後に大きな影響を与えます。患者さんがいちばんつらいときに、心身の支えになる看護を提供したいのです」という思いがある。
センター内のICUに収容されるのは、多発性外傷や熱傷など、深刻かつ重篤な事例だ。そして、外来初療を担当した看護師がそのままICUでもその患者さんを受け持つケースも多い。
「時々刻々と変化していく患者さんの病態をアセスメントしながら、迅速でかつ、的確な看護を実践する。その積み重ねと連動して患者さんが回復していく。このように、アセスメントと看護の結果が、すぐに患者さんから返ってくる。そこが救命救急看護のやりがいです」という井川さんは、看護歴10年目の2009年、念願だった救急看護認定看護師の資格を取得した。
「救命救急の現場で私が体験してきた看護を言語化し、なぜそれを行うのか、理論的に伝えたいと考えていました。経験的知識や技術の伝承ではなく、科学的、理論的に、看護の力を養い、センター全体の看護の質を上げるようにしたいからです」と井川さんは認定看護師を目指した動機を語る。
看護師一人ひとりの学び得たことを全体にフィードバックして、看護を進化させていく。同院にはこうした高く強い志を持つ看護師が数多くいる。
同センターの看護師で、井川さんの1年先輩にあたる上澤弘美さんもその一人。専門看護師を目指すために、今春4月から大学院に進学する。
指導することにより、自らの学びとなる。そう考える上澤さんは、看護歴4年目からAHA BLSやITLS、ICLSなど救命救急にかかわるさまざまな資格を習得し、院内のみならず院外でもインストラクターとして指導経験を重ねてきた。
「オフに研修で知識や技術を吸収し、オンでそれを実践する。すると、患者さんによい看護ができる。それがうれしくて、もっと学ぼうと思うんです。学んだことをみんなにも伝えたいですし」と上澤さんはこれまでを振り返る。
また、今後に向けては「救急搬送される患者さんや、集中治療が必要な患者さんは身体的に危機的状態にあります。そして、そのような患者さんの家族は、精神的に危機的状態です。看護師として、患者さんやその家族に対するケアを理論的に実証し、実践していきたいと考え、クリティカルケア専門看護師を目指しています」と意欲に燃えている。
同院はこうした看護師一人ひとりの学ぶ意欲を大切にし、安心して教育が受けられるように惜しみなく支援している。上澤さんも大学院で学ぶ2年間は休職扱いとなり、職場復帰が保証されているという。
最新の看護に温もりを添えて提供する同院の看護。その背景には看護師の真摯な努力と看護部の惜しみない支援があるのだ。


