新人看護師のために工夫された研修内容

- Tさんは「将来、訪問看護師になりたい」との目標がある

- 目「患者さんを笑顔にできる看護師になりたい」と話すTさん

- 自ら志願してプリセプターとなったKさん
神奈川県相模原市の東林間にある東芝林間病院は、樹木に囲まれた恵まれた環境にあり、春になると桜が病院のまわりを取り囲み、やさしい空気に包まれる。地域に密着し、患者さんから親しまれる病院として、予防から急性期、回復期、在宅までのトータル医療を提供している。
2階北病棟(外科病棟)のTさんは「教育熱心な病院だと聞いてインターンシップに参加したときに、患者さんとかかわる時間が多いことにも魅力を感じました」と入職の理由を話す。
Tさんと同期入職の3階南病棟(内科病棟)のTさんも「プリセプターが1年間ついて教えてもらえるなど、教育システムがしっかりしているところが安心できました」と言う。
同院の新人教育は、「病院組織の理解と社会人として自覚と責任を持つことができ、看護の専門職業人として、基本的姿勢・態度を身につける」「看護に必要な基本的知識を習得し、知識に裏づけされた看護実践が提供できる」ことを目的に、さまざまな研修が組まれている。
まず、入職時の導入研修が1週間。なかでも、2日目に体験型カリキュラムを取り入れているのが特徴だ。医療安全研修として、2人1組でデジタルカメラを持って院内を回り、危険と思う箇所を撮影して、病院の各部署の代表者の前で発表する。この研修の目的を「危険予知の感性を高めることと、病院の各部署の人たちに新人看護師の顔を覚えてもらうこと」と話すのは、教育担当の副看護部長・Hさん。
Tさんが「この研修で同期の親睦がグッと深まり、桜の木の下でみんなで写真を撮ったことが思い出です」と言うように、こうした作業を通してお互いに打ち解けて、3日目からはにぎやかに研修が行われる。研修内容も新人たちが興味をもって取り組めるよう工夫されている。
その後も、1カ月後、3カ月後、6カ月後と定期的にフォロー研修を開催し、新人たちをバックアップしている。
新人研修の最後には、看護過程の展開のサマリーの提出と発表で1年間を締めくくる。
ポートフォリオを使って病棟全体で育てていく
卒後5年目以上の看護師を対象として行われた「リスクマネジメント研修」の発表会
同院は、プリセプター制で、現場の仕事をマンツーマンで新人に教えていく。「プリセプターはお母さんのような、とても頼れる方でした。“あいさつはしっかりね”と教えてもらったことが印象的です。最初の頃、なかなか患者さんに声をかけられなかったので、患者さんへの話しかけや対応など、とても参考になりました」(Tさん)
もちろん、プリセプターだけでなく、病棟の先輩看護師たち全員で新人の成長を見守っている。
新人看護師は「ポートフォリオ」と名付けられたノートに、日々の目標や学んだ内容、振り返りなどを記入する。それを見た病棟の先輩看護師たちがアドバイスなどを記入していく。「“こういう面から調べてみたら”とか自分の気づかなかった視点でアドバイスをもらえたり、いろんな意見が聞けてとても参考になりました」(Tさん)
プリセプターを務めた4階病棟(回復期リハビリテーション病棟)のKさんは「私が新人の時についてくれたプリセプターは、厳しいけれど責任感のある人でした。そのおかげでずいぶんと成長できたので、私もそんなプリセプターになりたいと思っていました」と話す。
ところが新人に「教えなければ」「声をかけなければ」と思うほど気持ちだけが空回りし、思っていたより難しかったと振り返る。
そんなときは、同じようにプリセプターを経験した先輩看護師に相談し、アドバイスをもらった。「人に何かを教えるためには自分にも知識が必要です。あらためて勉強し直す良い機会になりました。新人の成長が見えたとき、プリセプターとしての喜びを実感できました」
教えてもらう立場から教える立場へ。プリセプターもともに成長していく。
着実にキャリアップする先輩看護師たちが目標
「リスクマネジメント研修」の発表を終えて、ほっとした表情に
同院では、新人~3年目までは毎年研修が組まれていて、4年目にプリセプター研修があり、その後も、中堅研修、専門研修など「経年別プログラム」でしっかりサポートしている。「中堅研修」を受講したSさん(5階病棟)は、「褥瘡対策チームの一員でもあったので、病棟に褥瘡予防の専門的知識の向上を図るため、体圧測定のデータを取ったり、ベッドマットの知識を広めていったりと働きかけていきました。その結果、成果も出て、とても達成感がありました」と振り返る。 その後、褥瘡に興味を持つようになり、褥瘡学会にも初めて参加した。「研修で自分の“やりたい”ことが見つけられました」と、生き生きと話すSさん。
4階回復期リハビリテーション病棟のMさんは、全国回復期リハビリテーション病棟連絡協議会認定の「回復期リハ看護師認定コース」を修了した。今後、院内外での活躍を期待されている。「やりがいのある回復期リハビリ看護の認定を取ったことで、患者さんにももっとよいケアを提供していきたいと考えています。院内でもリハビリ看護の役割など研修を通して伝えたり、地域の人にも情報提供をしていけたら……」
このように、同院では卒後も継続的に研修を積み重ねることで、キャリアアップが可能だ。自分のやりたい看護を追究し、新人とともに日々成長を続けている。