相澤病院 同期との横の関係と、先輩後輩の縦の関係がひとつになり、揺るぎないチームワークに

ICU病棟でのカンファレンス。患者さんの状態や治療方針を共有し、医師やリハビリスタッフと連携を図っていく

病院DATA

開設/
1952年1月
開設者/
社会医療法人財団 慈泉会
病床数/
471床
診療科目/
内科、心療内科、呼吸器科、消化器科、循環器科、小児科、整形外科、形成外科、脳神経外科、泌尿器科、産婦人科、リハビリテーション科、放射線科、歯科口腔外科、麻酔科、一般外科、消化器外科、耳鼻いんこう科、眼科、心臓血管外科

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民間病院では、全国で3番目となる地域医療支援病院に指定されるなど、地域の医療を支える救急病院として、地域住民からも信頼の厚い相澤病院。24時間365日の診療体制で受け入れるとともに、本格的なERを備えたトリアージステーション、屋上ヘリポートを設置するなど、救急医療体制の充実に努めている。また、看護師としても人間としても成長できる教育環境を整えている。

全職員を対象とした研修で社会人としての人間形成を育む

壮大な北アルプスの大自然を擁する長野県・松本市。この文化的で四季にも恵まれた環境にある相澤病院は、医の本質としての救急医療と、医の心としての全人的医療を原点として、地域医療を支える基幹病院としての役割を担っている。

同院のモットーは、病院を自己実現の場とし、職員一人ひとりが生き生きと仕事を行い、そのエネルギーを結集することで、輝きに満ちた病院にすることだ。実際に働く職員たちは伸び伸びと働いている印象を受けるが、どのような環境づくりや教育が行われているのだろうか。

同院では、急性期に対応できる看護師育成のため、看護職員を対象とした新入職員集合研修をはじめ、マンツーマンの指導だけでなくチームで技術面と精神面をサポートしていく「Ai-ness」(アイネス、Aizawa hospital Nurse EducationalSupport System)など、独自の教育システムを導入している。

さらに特徴的なのが、全職員を対象に3年間を通して実施される人間形成を育む研修だ。ここでは、同院の目指す病院づくり、人材育成の考え方が見えてくるこの研修を紹介していこう。

同期が集まる3年間の研修で仲間とのつながりを深める

1年目の研修のテーマは、コミュニケーション。入職後1週間行われる新入職者集合研修では、院内見学、BLS実習、感染対策、接遇・マナーなど、看護師としてだけでなく社会人として必要な知識を学んでいく。また、2日間で行われるコミュニケーション研修では、自己理解を行い、より良い人間関係を作っていくためのコツを習得する。研修医や他職種の同期とともに学び、交流を深めることで自然とコミュニケーション能力が培われていく。

この研修の目的を、人事部のKさんは次のように語る。「当院では、人と人とのつながりを大事に、人間としても成長できる研修を企画しています。以前の研修は看護職員だけでしたが、もっと広い視野を持ち、同期同士の横のつながりを強めるために全職員を対象としました。その結果、連帯感も生まれ結束力が高まりました。3カ月後のフォローアップ研修では、外部講師の講演と個別面談を実施しています」

そして、冬のリフレッシュ研修は、スキー・スノボー組と温泉組にわかれた1泊2日の研修。文字通りリフレッシュを目的としているので、講義やレポート提出などは一切ない。久々に同期と集まり過ごす時間を設けている。 

2年目のリフレッシュ研修は、キャンプ場で行われる。自分の悩みなどを自由に話すことを目的としたこの研修は、ストレス解消とともにチームワークや仲間の大切さを知る機会となっている。 

さらに3年目のリフレッシュ研修では、ソフトバレーボール大会と懇親会を実施。加えてリーダーシップ合宿研修では、外部講師の講演とグループワークで、指導する立場となる3年目に、リーダーシップを身につけられる内容となっている。

集合研修では、仲間づくりに主眼をおいているというKさん。「3年間でどれだけ仲間をつくれるかが課題です。看護現場でのサポートはもちろんですが、悩みがあれば人事部で聞いたり、病院全体で新人をサポートする環境を整えています」

頼れる先輩が身近にいることで安心して成長する新人看護師

このように同院では、同期との横の関係を大切にしているが、看護現場では先輩と後輩という縦の関係も重視している。ここでは、ICU病棟で指導総責任者として後輩指導に当たったTさん(看護歴5年)と、先輩から指導を受けたSさん(看護歴2年)に、先輩と後輩との関係を語ってもらった。

入職後に配属されたICUという現場に戸惑ったというSさん。「日々の小さなミスで落ち込んだときなど、何でも相談できて頼れたのがTさんでした。初めは周囲の目を気にして、あせってばかり。失敗すると辞めたいと思っていましたが、“これは誰もが通る道だからマイペースで”とアドバイスを受け、できることからやろうと気持ちを切り替え、乗り越えることができました」

指導に当たったTさんは、新人の目線に立った指導を行ったという。「マニュアル通りではなく、自分の実体験に基づいたアドバイスをしました。注意するところは注意し、Sさんの個性は生かせるよう、メリハリをつけた指導を心がけました」

病棟で常に自分を見てくれていた先輩の存在を、Sさんは次のように語る。「一番心強かったのは精神面で頼れる先輩がいたこと。プライベートでも悩みを相談でき、落ち込んだときも支えてもらえる環境があったので救われました」

これまでSさんを見守ってきたTさんは「今は、患者さんだけでなくご家族へのサポートもできているし、1年前に比べ、精神的にも強くなり成長を実感しています」と振り返る。

そして、同期とのつながりによってチームワークを学んだというSさん。「1年目研修では、他職種の仲間と研修を受けることで連帯感が生まれました。他職種の仕事を理解し、専門分野の話を聞けたことは有意義でした。さまざまな視点から病院全体を見られたので、視野が広がりました」 同期との研修は、お互いに悩みを共有し、励まし合い成長できる場となっている。

知識や技術を学ぶ研修だけでなく、仕事を離れて仲間と本音で語り合うことでチームワークも生まれているようだ。 縦糸と横糸が折り重なることで一枚の布ができあがるように、同期のつながりという横糸を強化する同院の取り組みにより、縦糸だけはできなかった布が完成した。それが同院の目指す輝きに満ちた病院であり、患者さんへのよりよい医療の提供につながっている。

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人工呼吸器の操作方法の指導を受けるSさん。機器の仕組みを理解し、管理できるよう何度も確認して習得する

輸液管理では、物品の準備を行い、指示書と照合しながら薬剤の種類、量などを確認し、声を出して確認をしていく。正確な知識と確認が重要となる

後輩からの信頼も厚いTさんは、頼りになる存在。自分の新人時代を振り返り、新人の気持ちを尊重して指導に当たったという

病棟のチームワークもいいので、働きやすい環境だというSさん。今後は、患者さんの気持ちを考え、心に寄り添った看護を提供するとともにICUの看護を深めていくことが目標だという

仕事以外のことも含めて、Tさんにはどんな些細なことも相談できて、アドバイスを受けられる存在だったという。休憩時間やプライベートでも悩みを話せるアットホームな環境が、新人たちにとっては心強い