けいゆう病院 チームナーシングのなかで2年かけて一人前に育てる

明るいナースステーションで、活発に意見が飛び交うカンファレンス風景

病院DATA

開設/
1934年5月2日
開設者/
財団法人神奈川県警友会
病床数/
410床
診療科目/
内科、循環器科、呼吸器科、消化器科、精神科、神経内科、小児科、外科、整形外科、形成外科、脳神経外科、皮膚科、泌尿器科、産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、気管食道科、放射線科、麻酔科、健診科(人間ドック)、リハビリテーション科、歯科

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国際都市横浜のみなとみらい地区に建つ同院は、横浜名物にちなみ、看護部のキャリアラダーを「赤レンガ方式」と呼ぶ。人間性豊かな看護師を、2年かけてじっくり育てる方針で、新人は、先輩、上司、看護部、看護学校の教員と、多くの人に見守られながら、ゆっくりしっかり育っていく。チームのなかで、一人ひとりの看護師が成長していく姿を追った。

プロの看護師を育む抜群のチームワーク

Sさんは、けいゆう病院の循環器・呼吸器混合内科病棟で働く1年生看護師だ。同病棟で実習を経験した際、先輩方が楽しそうに働いているのを見て、就職後、配属を希望した。「実習ではあくまでお客さんなので、スタッフとして中に入ったらどうなんだろう……という不安もあったのですが、働き始めてからも、印象は変わりませんでした」とSさん。ナースステーションでは、活発な意見が飛び交うなか、スタッフが笑顔を絶やさず動いている。

同院は固定チームナーシングを採用しており、同病棟は、約15名ずつの2チームに分かれ、業務を行っている。チームリーダーの下、個々のナースは日々のリーダーを担ったり、自分の受け持ち患者さんのために、看護計画を立案・実践したりする役割を負う。もちろん個人の能力や経験を考慮しながら、徐々に役割が与えられるようになっている。

Sさんは、入職して半年たったころから、患者さんを受け持つようになった。「まず一人を受け持ち、その方が退院されたら次の方、というように、無理のない形で受け持ちを経験させてもらえるので、じっくり取り組むことができます」(Sさん)。それでも業務に追われ、気持ちに余裕がなくなることもあるが、そんなときは、周りで見ている先輩が、すかさず声をかけてくれるそうだ。「プリセプターだけでなく、その場にいる人が手を貸してくれたり、さり気ないアドバイスをしてくれたりと、本当に温かい先輩に恵まれているのを感じます」 またユニフィケーションを通して、看護学校の教員が現場で、卒後教育の一端を直接担ってもらう仕組みも効果を上げている。こうしたサポートのおかげで、ベッドサイドで過ごす時間が徐々に増えている実感があるそうだ。

Sさんの2年先輩、Tさんは、最近、日々のリーダー業務を開始した。「リーダーとなると、ほかのスタッフの動きや患者さん全体に目を配ったり、他職種や医師との連絡や調整なども行ったりする責任があります。自分個人の業務に集中していたころに比べると、一気に視野が広がるのを実感しています」
新米リーダーであるTさんを気遣って、要所で先輩が声をかけてくれるのが、非常に心強いそうだ。「患者さんのためにチームで動いている手ごたえがあります」というTさんは、より深く一人ひとりの患者さんとかかわる看護をめざしている。

臨床から教育、在宅へと視野を広げていく

若いスタッフの精一杯の活動を支えるのは、中堅看護師たちだ。チームリーダーを務めるWさんは外科病棟で経験を積んだのち、同病棟に配属になって3年がたつ。「もう一人のチームリーダーが同期生なので、コミュニケーションを密にとりながら業務を進めています」と話す。新人が負担を感じることなく、楽しく働ける環境を実現させるため、プリセプターを支援することによって新人をサポートする体制を整えている。「教えることで自分自身の知識が整理でき、勉強になると感じる毎日」だそうだ。教える楽しさに目覚め、やりがいを感じるようになったWさんには、将来、看護教員になるという目標ができた。

同病棟勤務で、ディスチャージナースのZさんは、看護歴11年。入院中だけでなく、地域に帰った後もその人らしい暮らしを継続できるように、病棟と在宅をつなぐ継続看護を行っている。「患者さんやご家族に接する部分は、できる限り受け持ち看護師に任せ、私は後ろで支えています」とZさん。

カンファレンスを行い、情報を共有することにより、各看護師が自信をもって患者さんと家族を支援できるようになるそうだ。「医療依存度の高い患者さんが在宅に帰るケースも増えています。ご家族の心配や不安を丁寧に傾聴し、一つずつ取り除くことによって、皆様が納得して笑顔で帰宅する日を迎えることが可能になります。退院されるのを見送るときは、本当にうれしく思います」

ケアの質の向上・統一をめざして他病棟を経験

スタッフが生き生きと働ける環境づくりのために、看護部もさまざまなしくみやプロジェクトを用意している。その一つに内科系三病棟の間で、リリーフ制度がある。取材当時、血液内科の副主任であるOさんは、循環器・呼吸器混合病棟で勤務中だった。同病棟師長のTさんによると、同制度の大きな目的は2つ。1つは、より広範囲で活躍できるジェネラリストを育成すること、もう1つは、ケアの質の向上・統一を図る機会とすることだ。

O副主任は「所属病棟とやり方が異なることがあると、“なぜだろう”と考えるようになり、物事を多角的に見る姿勢が養われつつあります。また、お互いにいい点は取り入れ、改良すべきところは改良して、院内全体の看護の質をより高いものへと統一していく土台を築くのに、非常に有効だと感じています」と話す。 新人は幾重もの重層構造で手厚いサポートを受け、経験豊かな看護師は、他病棟でさらなる経験を積み、広い視野を身につけるといった、非常に豊かな教育内容を備えているけいゆう病院看護部。

入職1年以内の離職率が低く、T師長は、「丁寧に育てている成果だと、誇らしく思います。知識や経験は、やがて必ずついてくるものですから、心配いらないと繰り返し話しています」と胸を張る。「看護師を育てることも、患者さんとかかわることも、どちらも“人とのかかわり”という意味では変わりがありません。穏やかな気持ちで人に接することができる職場環境を、今後も大事にしていきます」との言葉どおり、笑顔が行き交う職場は、本当に居心地がいいものだった。

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薬剤の確認をするTさん(左)

循環器内科のC医師(中央)と患者さんの状態を話し合うSさん(左)

Wさん(左)は頼れるチームリーダー。スタッフの信頼も厚い

患者さんの在宅への移行をサポートするディスチャージナースのZさん

血液内科副主任のOさん。他病棟での勤務は貴重な経験だ

循環器・呼吸器混合病棟師長のTさん。和やかな笑顔でスタッフと患者さんを支えている